マレーシアの伝統料理「ウツボカズラ飯(Lemang periuk kera)」の話を聞き、再現してから、ウツボカズラの料理素材としての有効性を考えるようになりました。
食虫植物のウツボカズラはその袋状の形、消化液を漏らさない保水性から器にはぴったりです。
自生地で飲み物の器に使っていたということが文献にも書かれています。
イベントなどでウツボカズラ飯をご紹介する中で、食虫植物料理をリクエストいただく機会も増えました。そこで、ウツボカズラを器にしたカクテル、ウツボカズラを縦に開いてボート状にしてサラダをのせたもの、ウツボカズラのチョコレートコーティング、ウツボカズラの天ぷらをお出ししたりもしました。
中でもウツボカズラの天ぷらは好評で、せっかくなら美しく揚げたいと思い立ち、揚げる際にいろいろ工夫したり、失敗したりしたことをご紹介したいと思います。
※国内で流通しているウツボカズラは観葉植物として販売されており、食用では販売されておりません。その点をご留意ください。
ウツボカズラとは?
ウツボカズラとは食虫植物の一種で、ウツボカズラ科の多年生のつる植物です。
東南アジアを中心に分布し、とくにボルネオ島に多くの種類が自生しています。ウツボカズラの種類は、およそ200種類あります。
葉の先が変化して袋状になり、この袋で虫を捕まえます。この袋には消化液が溜まり、袋から出る蜜に誘われて寄ってきた虫が袋の中に滑り落ち、中の消化液で溺れて溶かされてしまいます。ウツボカズラはこの虫の栄養を吸収し成長します。
日本では観葉植物として流通し、食虫植物専門店や園芸店で販売されています。
用意するもの
・ウツボカズラの袋 2つ
・天ぷら粉 100g
・水 100cc
ウツボカズラをよく洗う
まず、天ぷらに使うウツボカズラを用意します。
蓋が開いたばかりのウツボカズラを収穫して使うのが良いでしょう。蓋が開いていないウツボカズラは柔らかすぎて、火を通すとふにゃふにゃになって形を保てなくなります。
ウツボカズラ飯のレシピを紹介している文献『Pitcher Plants of the Old World Volume One』にも書かれていますが、使うウツボカズラはよく洗います。
1日水に浸けて、その水をまめに取り替えます。そして、さらに表面と中をよく洗います。よく洗えたと思っても底部のつるの部分に虫が溜まりやすいので、コップを洗うような道具でその部分もよく洗い、繰り返し濯ぎます。
ウツボカズラをよく冷やす
美しく揚げるためには具材をよく冷やすといいようです。
よく洗ったウツボカズラを冷蔵庫でよく冷やします。揚げる前によく水を切る必要があるので、この時に脱水シートに包んで冷蔵庫に入れておくのも良いでしょう。この後の水切りがしやすくなります。
ウツボカズラの水気をよく切る
ウツボカズラをよく洗ったら、揚げる前によく水を切ります。
特に虫が溜まりやすい底部に洗った水も残りやすいので、袋の中もよく水気を拭き取ります。
揚げる時に水が残っていて爆発したことがあり、あたりが油だらけになり、悪くすると火傷を負い、大惨事になります。ウツボカズラは、水分の多いものを揚げる時と同じく油はねしやすいので、必ず水気をよーーく切ります。
脱水シートを使うのもいいでしょう。
ウツボカズラの衣をつくる
まず衣を作ります。
私はいつも「コツのいらない天ぷら粉揚げ上手」を使っています。
これは卵が要らない天ぷら粉で、冷水&炭酸水にこの天ぷら粉を少しずつ入れて溶きます。
水100ccに対し、天ぷら粉100g程度。
水に天ぷら粉を溶く時にあまりかき混ぜすぎずに、ダマが残るくらいにすると、衣に立体感が出てきれいな仕上がりになります。
ウツボカズラに打ち粉を振る
よく洗い水気を切ったウツボカズラはピカピカとして美しいです。
ウツボカズラを美しく揚げるためにも、天ぷら粉をつけるために打ち粉をふります。こうすることで、表面がツルツルしているウツボカズラも衣つきがよくなり、揚げている途中に衣が剥がれにくくなります。
ウツボカズラを揚げる
揚げ油をたっぷりと用意し、鍋を熱して油の温度が160℃〜170℃温度なったら、
ウツボカズラの片側に衣をさっと浸けます。
この時に袋の中に衣が入らないように注意します。袋の中に衣が入ってしまうと、表面が揚ったのに中の衣があまり火が通っていない状態になってしまいます。
衣が揚がるまであまり動かさずに、揚げます。
すぐにひっくり返すと、袋の中に油が入り、水分が残っていたりすると爆発し、大変なことになります。また、揚げている途中も袋の中に油が入らないように気をつけます。
ウツボカズラの天ぷらの完成
ある程度揚がったら、揚げすぎずにさっと油から出し、油切り用のペーパーでよく油を切ります。