【食虫植物】マリアウベイスン探訪記⑤山小屋泊

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ネペンテスリサーチステーションとは

ネペンテスキャンプ(キャメルトロフィーキャンプ)

ウツボカズラの群落地を観察するための拠点「ネペンテスキャンプ」

6時間の登山の果てに辿り着きました。

明るい緑色に彩色された二階建ての簡素な木造建築です。

実に開放的な食堂

壁はなく、とても開放的な山小屋。

一階には食堂、キッチン、トイレ、シャワー室。二階は簡易宿泊所で二段ベッドが設けられています。

食堂の奥側の壁。正面奥がキッチン。右手前にシャワー室。奥にトイレ。
案外使い勝手の良さそうなキッチン

両方の階に外に向かって服が干せるスペースがありました。

縁側の物干し場
くつろげるベンチもある縁側
2階へと続く階段
右手に宿泊スペースがある
2階もまた開放的。衣類を干す場所がある
宿泊スペース。屋根のある部屋もある

ネペンテスキャンプは旧名をキャメルトロフィーキャンプといいます。1993年にキャメルトロフィーの参加者によって建てられました。キャメルトロフィーは過酷な自然環境をレース場にしたオフロードレースです。

建物の裏手には、高さ33メートルものアガチスの木の展望台がありました。私はパスしましたが、他の方は展望台に登りました。

壁のないネペンテスキャンプの食堂

食堂は広く、板の間に大きなダイニングテーブルが二つ。テーブルを挟んでベンチ式の長イスがありました。壁はなく、そのまま外が見えます。見晴らしは抜群。

ネペンテスキャンプの食堂

この食堂でくつろいだり、お茶を飲んだり、食事をしたりしました。

壁がないため、虫がよく入ってきます。夜は特に光めがけて虫が飛び込んできました。

体の芯から冷える川の水のシャワー

シャワー室は四方をコンクリートに囲まれ、手前に洗面台、壁にシャワーのノズルが出ているのみでした。ノズルの下方にはごついバルブがあり。

室内は薄暗く、饐えた匂いが充満しています。

硬いバルブをひねるとチョロチョロと控えめに水が出てきました。したたる水の中に体を割り込ませ、浴びたところ、息が止まりそうになりました。凍えそうな程冷たいです。水が出るたびに壁の中から轟音が聞こえました。

冷えた水で頭を洗い体の芯から冷えたところ、体の内側がじんわりと熱くなりました。乾布摩擦のような効果でしょうか。

後で聞いたところ、建物横にタンクがあり、そこに川の水を汲み入れ、トイレとシャワーに使っているのだそうです。水の便が悪いとろにもかかわらず、このように水が使えてありがたいことですが、非常に冷たいです。

ネペンテスキャンプのトイレ事情

シャワー室同様に薄暗いのでした。やはり饐えた匂いが漂います。

和式で、足踏み式で流すことができます。

トイレのそばには水を張ったバケツがあり、柄杓が突っ込まれています。その水で下半身を洗うことができます。もちろんトイレットペーパーはありません。

トイレ文化を、拭く文化と洗う文化に大別できるとのお話を安間先生からお聞きしました。日本でもフキの葉を使った話や乾燥地ではロープを使う話など、トイレ文化話で盛り上がりました。

ボルネオの地方では川で用を足す風習があり、洗濯も入浴も排泄も川で済ますといいます。先生も川で用を足すのだそうですが、力を入れにくく技術が要るとのお話でした。確かに慣れないと流されてしまいそうです。滞在中には叶いませんでしたが、私もぜひチャレンジしてみたいです。

マレーシア式のトイレ、紙を流す場所もないので、こちらの方式で洗い流すように用を足しました。が、どうも落ち着きません。あと、洗いたいポイントにうまく水がかからないです。慣れなんでしょうね。ウォシュレットって便利と思いました。

キャンプ飯で楽しい晩餐のひととき

少女料理人が美味しい料理を作ってくれた
ネペンテスキャンプの楽しい晩餐

今回の旅にはポーターの他に料理人の少女が同行し、食事の用意をしてくれました。

滞在中は山小屋と思えないほど豪華な大皿料理でした。到着した日はエビと野菜炒め、野菜スープ、イカフライ、フライドライスにデザートのスイカ。優しい味付けのマレーシア料理でした。

山小屋と思えないほど豪華!
味付けもとっても美味しい

気づかないままヒルの餌食になる

食事をしている時に腰のあたりが濡れているのに気づきました。どこかで濡らしてしまったのかと触った手を見ると、手のひらが血塗れ。

服が血で濡れていたのです。

ヒルです。生まれて初めてヒルに血を吸われました。

凝固を阻害する液体をヒルが出し吸血するので、血が止まらないと聞いていましたが、本当です。血は止まらずズボンの腰のあたりが血で濡れ、尚少しずつ血が流れ出しています。

吸われた部分に直に触ると、血でぬらりとしていました。

バンドエードで止血してしまうと、凝固阻害する液がいつまで経っても流れないので良くないらしく。橋場さんにガーゼを当ててもらい、応急処置を施してもらいました。

結局血は少しずつ流れ、止まったのは真夜中でした。吸われたところは微妙に痒く。後々まで痒みが残りました。

まったく痛くないのが不思議です。吸われたことも気づかなかったくらいですから。はじめてヒルに吸血されてショックでしたが、貴重な経験になりました。

マリアウベイスン固有のヒル「タイガーリーチ」

赤黒いヒル。安間先生の血を吸って太っているがこの後血を吐き息絶えることになる

どこで吸血されたのかはまったくわかりません。吸血したヒルもいなくなっていました。

「そういえば、さっき血を吸って太ったヒルを見かけた」と目撃情報を得て、そいつが私の血を吸ったヤツではないかという話になりました。聞けば、犯人は赤黒いヒルだったそうです。

他のメンバーもヒルの被害に遭い、メンバー9人中6人がヒルに吸血されました。それほどにヒルの数が多いのです。

安間先生は滞在中2回ヒルの被害に遭われていました。

安間先生を襲ったヒルは発見され、ヒル避け薬によって駆除されました。

マリアウベイスンのヒルは赤黒いヒルとタイガーリーチと呼ばれる黄色と黒のグリーンの三色の光沢があるヒルの2種類。この後、タイガーリーチを見ることになります。

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