【体験レポート】6月頭の入笠山ハイキング(イチヨウラン・山小屋グルメ)

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野生蘭のイチヨウランを見に、自生している入笠山に6月頭に行ってきました。

入笠山とは?地理とその魅力

入笠山(にゅうかさやま)は長野県諏訪郡富士見町と伊那市にまたがるように位置する山です。南アルプスである赤石山脈の一部で、標高は1955メートル。高い標高にもかかわらず、標高1780メートルまでゴンドラで行け、山頂まで手軽にハイキングできるのも魅力です。

高層湿原の入笠湿原

山頂付近に高層湿原を有しているため、四季折々の珍しい湿地の植物が育っています。これらの植物を見ることが、入笠山トレッキングの大きな魅力。今回はイチヨウラン目当てで行きました。ですが、7月、8月と移り変わる植物を訪れるたびに楽しめる場所です。

JR富士見駅から富士見パノラマリゾートまで無料送迎バスで10分

富士見駅の駅舎

9時過ぎにJR富士見駅に到着。10時から無料送迎バスが出ているとのことでしたが、混雑が予想されたので早めに行き、タクシーで向かおうと予約していました。ところが、早い時間に無料送迎のマイクロバスが待機していました。タクシー会社の方から、バスの方を使いなさいと言ってくださり(なんて親切)、送迎バスで、ゴンドラの出発駅である山麓駅まで。バスには6名ほど乗車。大通りを走り、10分ほどで到着しました。ちなみにこの無料送迎バスは通常、グリーンシーズンで往復1本ずつ運行されています。

富士見パノラマリゾート無料送迎バス

富士見パノラマリゾート山麓駅は団体客で賑わい

富士見パノラマリゾート山麓駅

富士見パノラマリゾート山麓駅に到着。団体の方が多く見られました。売り場でチケットを購入。往復で2000円ですが、信州まる得オレンジ割引マップから200円割引で、1800円で購入できます。売り場は嬉しいデジタル対応で、スマホの画面を見せるだけで利用できました。

信州まる得オレンジ割引マップ

往復チケット購入とともに、散策ガイドブックと300円の割引クーポンをいただきました。

ゴンドラで一気に山頂駅まで

富士見パノラマリゾートゴンドラ乗り場への道

山麓駅改札を通って、階段を登り、ゴンドラ乗り場へ。小学生の遠足と思わしき子たちがいて、6人ずつ楽しそうに乗っていました。怖いのか泣いている子も。

富士見パノラマリゾートゴンドラ
ゴンドラの中の景色

標高差730メートルを一気に上がります。所要時間は15分ほど。途中にマウンテンバイク用の道が見えました。

花が咲き乱れる入笠すずらん山野草公園

山頂駅に降りたら、まずはお手洗いに。綺麗なトイレでした。トイレ出口付近にゴンドラが怖かったのか、大泣きしている女の子。隣で引率の先生が慰めていました。ちなみに山頂駅には無料貸し出しのトレッキングポールがあります。のちの山頂への登山で持っていけば良かったと思いました。

まずは案内に誘われて、山頂駅に隣接している入笠すずらん山野草公園へ。ここにお目当てのイチヨウランが咲いています。

マイヅルソウの群生

自生するポイントへ行く道すがら、一面マイヅルソウの花畑でした。山野草公園内はよく整備されていて歩きやすいです。

入笠山のイチヨウラン

イチヨウラン

見てみたかったイチヨウラン。この時は6月9日(2023年)ちょうど見頃でした。これまで写真で見たことはあったのですが、実物を実際に見るのは初めて。野生蘭らしいオーラのある雰囲気です。

イチヨウラン花のアップ

勝手に自生している箇所は狭く、株数の少ないのかと思っていました。しかし、そんな予想を裏切り、群生ポイントが点在していました。見られて良かった。美しい蘭です。

ガイドブックによれば、自生株が発見されたのが10年前。以降、笹刈り、防獣対策などの植生保護が行われ、個体数が増加しているとのことです。ありがたいです。

ちなみに株のそばには監視カメラが設置されていて、厳重に保護されて、監視されています。熱心に撮影されている方もいました。

釜無ホテイアツモリソウと他の植物

イチヨウラン目当てで行った入笠山ですが、6月頭のこの時期、多くの花が咲いています。ちょうど山野草公園内に釜無ホテイアツモリソウも咲いていました。

釜無ホテイアツモリソウ

布袋様の袋に見立てられた丸みを帯びた花の形が可愛らしいです。

クマガイソウ

クマガイソウ

同じく、山野草公園内にクマガイソウが咲いていました。こちらも見頃でした。

コウモリソウ

コウモリソウ

葉がコウモリに似ていることからコウモリソウと名付けられたのだそうです。見えますか?

ベニバナイチヤクソウ

花は開いていませんでしたが、蕾の状態のベニバナイチヤクソウを見られました。

ツツジ科。シロバナを高尾山で見ましたが、紅花はここで初めて見ました。

イカリソウ

イカリソウ

花と葉が食用になるそうで、生薬は精力剤担っていたとか。

チゴユリ

チゴユリ

小さく可憐な花。その可憐さからこの名が付いたのでしょう。

ズダヤクシュ

好きなズダヤクシュ。ユキノシタ科。漢字で書くと喘息薬種。古い時代には民間療法で、咳止めの薬として使われていたそうです。

ツバメオモト

ツバメオモト

イチヨウランのエリア、マイヅルソウの近くで咲いていました。終わりかけでしょうか。散っている株もありました。株全体が大きく、林の中で目立ちます。

いよいよ高層湿原の入笠湿原へ

入笠湿原への道

ゆるやかな道を経て、入笠湿原へ。山頂駅が標高1780メートルに対し、入笠湿原は1734メートルと、少し降りるようになります。湿原の入り口には鹿よけの柵がありました。この柵の中へと入っていきます。

入笠湿原入り口
入笠湿原木の階段

木の階段で降りていきます。間が開いていてちょっと怖い。階段を降りると視界が一気に開けます。先ほどの小学生の子たちが団体で歩いていました。

入笠湿原

入笠湿原の掲示とエゾノコリンゴ

入笠湿原掲示

湿原中ほどの木道には大きな掲示板が立っていました。湿原では、大きなエゾノコリンゴの木やズミの白い花が目立っています。

モウセンゴケも生えていそうな湿地で、調べたところ、大阿原湿原の方に生えているようです。今回は大阿原湿原まで行きませんでしたが、ぜひ訪れたいです。

山彦荘前のズミの花

山頂方向に向かって湿原を出ると、山彦荘前に出ました。入笠山には、山彦荘、マナスル山荘(ヒュッテ入笠)で食事を提供しているようです。メニューのそばやうどんに惹かれましたが、マナスル山荘(ヒュッテ入笠)に行ってみたかったので、こちらは素通り。向かいのズミの花が綺麗に咲いていました。この近くに公衆トイレがあります。山彦荘付近にはキバナノアツモリソウも咲いていたそうですが、見つけられませんでした。

ズミの花
ズミの花

視界が赤く染まるクリンソウの群生地

入笠山頂に向かう途中でクリンソウが見事に咲いていました。

クリンソウの花畑

この辺りはぬかるんでいて、しっかりと防水仕様の靴が良さそうです。

クリンソウの花

サクラソウ科らしい花です。

クリンソウの花畑

サンリンソウと思しき花

サンリンソウと思しき花も咲いていました。ニリンソウとの違いは、葉に柄があることだそう。確かに柄があるように見えました。キンポウゲ科。

山小屋グルメ。念願のマナスル山荘(ヒュッテ入笠)のランチ

ヒュッテ入笠

山頂へと通じる登山道の麓に建つマナスル山荘(ヒュッテ入笠)。行列ができていたのですぐにわかりました。こちらはビーフシチューが名物だそうです。楽しみに並んでいたところ、12時前に目の前で完売。人気があります。ビーフシチューが完売して並ぶのをやめる人がいたので、行列が短くなりました。

6月のマナスル山荘(ヒュッテ入笠)のメニュー

ヒュッテ入笠のメニュー

まだ12時前だというのに、ビーフシチューと塩釜ローストパーク丼が完売。しかし、どれも美味しそうです。他の人に運ばれていく鶏の唐揚げ定食は皿からこぼれそうなほどの大盛りでした。

マナスル山荘(ヒュッテ入笠)の塩ラーメン

曇りの日の6月頭の入笠山。この日の気温は20℃前後。風が吹いていたので体感温度はそれ以下でした。防寒着を着ていてもじっとしていると肌寒く、温かいものを食べたかったので、塩ラーメンに。冷めにくい鉄鍋に入った塩ラーメンは熱く、チャーシューたっぷり、麺は太めでもちもち。体が芯から温まりました。やや薄いチャーシューは大きく、食べ応えがありました。塩ラーメンは1300円。ゴンドラ往復購入時に貰った割引券により1000円で食べられました。美味しいので他のメニューも食べたいです。

お気軽ハイキングが一変。入笠山登山口から山頂へは急登

お昼を済まし、入笠山頂へ向かいます。マナスル山荘までなだらかで歩きやすい道が続いていました。ところがすぐ目の前の登山口から突如急登に。ひたすら登りが続きます。途中、ややガレている箇所もあり、登山靴が登りやすいです。途中で岩場コースと岩場迂回コースの分岐があります。

標高1995メートル入笠山頂から見た景色

入笠山頂

30分程急な登り道を登ると山頂に着きました。あいにくの天気で眺望は良くありませんでしたが、達成感はありました。

入笠山頂

入笠山頂からは、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、中央アルプス、八ヶ岳が臨めます。晴れた日にまた訪れたいです。

降りるときには、登ってくる人に何度か「あとどれくらいですか」と辛そうに聞かれました。

入笠山登山口花畑を経由して入笠湿原→舗装路→山頂駅へ

入笠山登山口花畑

まだ見ぬ植物を見に、復路は通っていない道を通ることにしました。マナスル山荘に出る道の内側を通り、花畑へ。途中ですずらん、ツマトリソウなどが咲いていました。

すずらん群生地

すずらん群生地
すずらん群生地

一面にすずらんの甘く爽やかな香りが漂っていました。

ツマトリソウ

ツマトリソウ

ツマトリソウがすずらんの間に咲いていました。和服の褄(つま)を手で持ち上げる様から名付けられたそうです。着物の赤い裏地が見えるかのように、花が赤く縁取られている由縁です。が、赤くなっているの花を見たことがありません。SNSの画像で初めて赤く染まったのを見ました。サクラソウ科です。

シロバナノヘビイチゴ

シロバナノヘビイチゴ

随所にたくさん咲いていました。

舗装路の脇に咲くクリンソウ

舗装路を通って山頂駅に向かいます。途中、水場でクリンソウが咲いていました。

山野草公園内の作品のようなマイヅルソウ

マイヅルソウ

最後に山野草公園をひとまわり。木の切り株からマイヅルソウが咲いているのが見られました。まるで雰囲気があり、芸術作品のようです。

帰りは小淵沢駅で駅弁を購入

ゴンドラで一気に山麓駅まで。途中、ゴンドラの中から、マウンテンバイクで猛スピードで降りている姿が見えました。スリルがありそう。

山麓駅から送迎バスで富士見駅まで戻りました。小淵沢駅で乗り換えだったので、途中下車して有名駅弁を売っているMASAICHIへ。色々ありましたが、パッケージの愛らしさに惹かれて「牧場の牛めし」をセレクト。懐かしい形のプラスチックのお茶瓶も売っていました。

牧場の牛めし

懐かしいデザインと十字に結んだ紐が良いです。

牧場の牛めし

ハイキングの際にはおにぎりを食べることが多いですが、久しぶりに駅弁を食べました。甘辛の味付けの牛肉ですき焼き風です。具は姫竹、椎茸、こんにゃく。漬物とわさびが添えてありました。

入笠山ハイキングを終えて

全体的に歩きやすいコースでした。最後の山頂への登り道を除けば、体力にあまり自信がない方でも歩ける場所だと思います。比較的なだらかな道の途中に多種多様な花を見ることができるのが最大の魅力です。フラワートレッキングをしたい方におすすめの場所です。また、アクセスが良いのもいいですね。公共交通機関利用で難なく登山口にアクセスできるのも、大きな魅力です。

  • アクセスがいい
  • 歩きやすい
  • 季節折々の稀少な花が見られる

まとめるとこの3つが入笠山ハイキングのイチオシポイントです。ぜひ季節を変えて訪れたいと思います。次回は、大阿原湿原探索とマナスル山荘にも宿泊したいです。

関連情報

富士見パノラマリゾート 長野県富士見町
長野県富士見町 東京から90分、富士山と八ヶ岳を望む高原リゾート。入笠山トレッキング、登山、マウンテンバイク、山野草公園

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