禍々しくも、凶暴な形の実をつけるツノゴマ科の植物。
ツノゴマの仲間には、通称「悪魔の爪」と呼ばれている種類があります。
この面白い形の実を大量に収穫するべく、タネから育てました。
その悪魔の爪の育て方をご紹介します。
悪魔の爪とはどんな植物?
ツノゴマ科には、5つの属が含まれています。
・クラニオラリア Craniolaria
・ホロレグミア Holoregmia
・イビセラ Ibicella
・マルティニア Martynia
・プロボスキディア Proboscidea
主に悪魔の爪と呼ばれるのが、イビセラ、プロボスキディアの仲間で、その名にふさわしい実の形をし、実の一部が突起し、先端が二つに裂けて、さらにその先が動物の鋭利な爪のように反り返ります。木質化した実の表面は棘に覆われ、尖った爪の部分も返しにより刺さりやすいです。野生動物がこの実をつけ遠くに運ぶことで、分布を広げてきました。
繁殖力が非常に強いことも併せて、外来種として世界中に広がっています。
人間もこの実を踏んで怪我を負うことから旅人泣かせの異名を持ちます。
「悪魔の爪」の他、「悪魔のツノ」「ユニコーンプランツ」とも呼ばれ、オブジェに使われたりします。また、ツノゴマ科の植物の木質化する前の実は食用にもなります。現地ではピクルスにするのだそうです。
今回は悪魔の爪の一つ、プロボスキディア・ルイジアニカ Proboscidea louisianicaの育て方です。
悪魔の爪のタネをまく
悪魔の爪の種は発芽率が悪いです。
2、3割程度しか発芽しなかったために、種の外殻の表面を削り、濡らしたティッシュに1日から数日包み、発芽しやすいようにしました。
気温が上がってくる4月の終わり頃にタネを撒きます。
悪魔の爪の用土
市販の野菜用の培養土にまきました。
元肥入りのや、元肥を混ぜると育ちがいいです。
悪魔の爪の発芽と移植
芽が出たら移植します。
芽の時から腺毛が生え、うっすら粘液を分泌しています。
株が大きくなるので、野菜を育てるような大きなプランターか地植えにするのがおすすめです。
株を大きくして実をたくさん収穫するのであれば、直径30センチ〜は欲しいところです。
根はそれほど深く張りませんので、プランターは深鉢ではなくても大丈夫です。
悪魔の爪の水やり
やや乾かし気味に、用土が乾いたら水をあげます。
丈夫な性質で、それほど気にしなくてもよく育ちますが、過湿は嫌うかもしれません。
悪魔の爪の施肥
肥料をあげなくても育ちますが、施肥すると生育が良いです。
悪魔の爪の花
6月の終わりから9月にかけて淡いピンク色の花を次々に咲かせます。
この花の匂いが悪臭で化学薬品に似た匂いがします。近縁のイビセラ・ルテアもまた悪臭がし、こちらは堆肥、もしくは動物の死体のような匂いがします。
虫媒花で受粉作業を行うと実つきが良くなります。
雌しべが捕虫する?
悪魔の爪の花は柱頭の先が二つに分かれ、この部分に触れるとパクッと閉じます。
蜜を吸いに訪れた虫を捕まえて、確実に受粉させる仕組みかもしれません。
株全体に生えた腺毛から粘液を分泌し、虫を捕まえますが、消化酵素を持たないために、食虫植物には分類されません。
悪魔の爪が現れる時!!(収穫)
花後に実がつき、徐々に大きくなります。
最終的には大きさが20センチほどになります。
実の下の部分がツノのように突き出ます。この形からユニコーン・プランツと呼ばれるのでしょう。
最初は外皮が柔らかいのが成熟するに従い、中が硬くなり、ある時外皮が剥け、正体が現れます。悪魔の爪です。1本だったツノは2本に裂けて爪のような形になります。
2本に裂けたくらいが収穫期です。この時爪の間からタネがこぼれてしまうことがあるので注意しましょう。
畑に植えると、1本の苗から少なくとも50〜60個ほどの実が収穫できます。(9月〜10月)
悪魔の爪の活用法
収穫後の実は乾燥させてオブジェにして愛でたり、魔除けに飾ったりしても楽しいです。