ざざむし漁の現場を見学したあと、伊那市内にある産直市場「グリーンファーム」を訪れました。
伊那谷の食文化を支えてきた昆虫食品やジビエが、日常の延長として並ぶ場所です。
NHKの番組で特集されたこともあり、現在は県外からの来訪者も多いと聞きます。
店内では、はちの子、いなご、蚕のさなぎ、ざざむしといった伝統的な昆虫食品が普通に売られていました。
私は今回、蜂の子ごはん、蜂の子の瓶詰め、蜂の子せんべいを購入しました。
本記事では、産直市場グリーンファームという場所。そこで出会った昆虫食品について記録します。
伊那市の産直市場「グリーンファーム」とは

産直市場グリーンファームは、長野県伊那市にある民間経営の農産物直売所です。
中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷の高台に位置し、平成6年にスタートしました。
現在では、生産者の会の会員は2,000人を超え、年間来店者は約70万人。
「規格外の農産物を現金化できないか」という地域の農家の方の思いから始まった小さな市場が、地域に根づいた拠点へと成長しています。

規格外農産物から始まった市場
形や大きさがそろわない農産物も含め、地域で生産されたものをそのまま並べるコンセプト。
その分鮮度と品揃えが良いのが特徴です。
思いがけないものに出会える場所

店内には、野菜や生花、加工品のほか、骨董品や古道具、中古レコードなど、実にさまざまな品が並んでいました。
用途やジャンルごとにきっちりと区切られているわけではなく、生活の流れに沿うように配置されている印象です。
年代物の人力車が置かれている一角もあり、思いがけず足を止めて眺めてしまいました。
必要なものを目指して来たはずなのに、予定していなかったものに出会ってしまう。そんな売り場です。
この土地で暮らす人たちの関心や営みが、そのまま反映された場であることに気づきます。
産直市場グリーンファームは、
「買い物をする場所」であると同時に、
伊那谷の暮らしの輪郭に触れることのできる場所なのだと感じました。



グリーンファームの昆虫食品売り場

伊那谷といえば、昆虫食文化が知られています。
グリーンファームでは、手作りの昆虫食品が日常的な商品として並んでいました。
グリーンファーム手作りの昆虫食品


店内で確認できたのは、以下のような品目です。
・はちの子
・いなご
・蚕のさなぎ
ざざむしを購入したかったのですが、この日は欠品していました。佃煮に加工されたもの。業務用に大容量で味付けされているないものまで幅広く取り扱いがありました。



実際に購入した蜂の子商品

今回、私は以下の商品を購入しました。
・蜂の子ごはん
・蜂の子の瓶詰め
・蜂の子せんべい




食レポ:蜂の子ごはんを食べてみる

蜂の子ごはんは、炊き込みごはんの形で仕上げられていました。
甘辛く味付けされた蜂の子がごはんに馴染み、ちょっとびっくりするほど美味しかったです。
これまでに蜂の子ご飯を食べたことはありましたが、今までで一番美味しい。
特有のクセがまるでなく、旨みだけが残りました。
料理がうまいのか、新鮮だからなのか。
おそらく両方だと思いますが、他の食材と同じく、地物で新鮮なものは間違いなく美味しい。それが、ここでも証明されました。


同じ売り場に並ぶ、山の恵み──ジビエとキノコ
蜂の子ごはんの並ぶ冷蔵ケースのすぐ近くには、ジビエや山のキノコも置かれていました。
「山の恵み」という文脈で、近くに並べられているように感じられました。
ここでは、それらが特別な「珍味」として扱われているのではなく、日々の食材の一つとして並んでいることが印象的でした。
地元産の鹿肉・熊肉が並ぶ

売り場には、伊那谷産の鹿肉と熊肉がパック詰めで並んでいました。
害獣対策としての捕獲と、食材としての流通が無理なくつながっていることが、この土地では特別なことではないのだと感じました。
蜂の子と同様に、鹿肉もまた「特別視されない食材」なのだと思われます。

塩漬けされた山のキノコ(あみたけ・こむそう)

冷蔵ケースには、地元で採れた塩漬けのキノコが袋詰めで並んでいました。あみたけは以前ペンションきのこでいただきました。こむそうは食べたことのない種類のキノコで気になりました。
「調理前に塩抜きをしてください」という手書きの注意書きが添えられていました。
たくさん採れたものを塩蔵していることがわかります。
秋にはマツタケが大量に入荷していたとのことでした。
NHKで紹介されたことで広がった来訪者
グリーンファームは、NHKの番組で取り上げられたことで全国的に知られるようになりました。
現在では、誰でも持ち込み自由、何でもありの産直市場として語られることもあります。
ただし、現地に立つと、話題性よりも生活の継続性が強く感じられます。
ざざむし漁のあとに市場を歩くということ
前日に見たざざむし漁は、川に入り、採り、食べるという行為が生活の中に組み込まれた営みでした。
グリーンファームで売られている昆虫食品は、その延長線上にあります。しかも、グリーンファーム製の昆虫食品ということで、いかに地域の文化として大事にされているかが伺えます。
まとめ:食文化が残る場所としての産直市場
グリーンファームは、地域の人の生活と仕事が、そのまま棚に並んでいる場所です。
そして、昆虫食もまた伊那谷の食の一部として静かに置かれていました。



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