銀座駅からすぐの長野のアンテナショップで信州の昆虫食文化に触れる機会がありました。
2025年12月7日。銀座NAGANOで開催された「昆虫食トーク&試食の会」。
ジバチ、イナゴ、ざざむし、カイコといった信州の昆虫食が異なる立場の登壇者によって語られました。
前日に伊那谷でざざむし漁の現場を見たばかりだったからこそ、
地元の文化と都市の中で発信される言葉や商品とのつながりが、よりはっきりと見えてきました。
本記事では、銀座という場所で語られた昆虫食の今をレポートします。
銀座NAGANOという「信州を知る場」
銀座NAGANOは、長野県のアンテナショップであると同時に、
「信州のことをもっと知りたい」という知的好奇心に応える場として設計されています。
2階のイベントスペースでは、信州の食・暮らし・文化をテーマにした参加型イベントやセミナーが定期的に開催されています。以前、こちらでトークイベントに登壇させてもらったことがあります。
信州の木材に囲まれたイベント空間
木材を用いたナチュラルなインテリアが印象的な空間は、
自然と信州をイメージさせます。
昆虫食というテーマも、ここでは伝統食として扱われています。
昆虫食のふるさと信州──四大珍味という切り口
今回のテーマは「昆虫食のふるさと信州」。
ジバチ、イナゴ、ざざむし、カイコという、信州の四大珍味が紹介されました。
ジバチ・イナゴ・ざざむし・カイコ
昆虫食の中でも知名度の高いイナゴ。
濃厚な味わいのハチの子。
冬の川で採られるざざむし。
製糸業と結びついてきたカイコ。
それぞれが異なる文脈を持ちながら、信州の食文化として並べられます。
昆虫食は「伝統食」か「未来食」か
セミナーでは、昆虫食が世界的に注目されている背景についても触れられました。
FAOの報告書をきっかけに、昆虫は環境負荷の少ないタンパク源として語られることが増えています。
サステナブルフードとしての昆虫
少ない餌で育ち、温室効果ガスの排出が少ないこと。
欧米ではプロテインバーなど健康補助食品として流通していること。
こうした説明は、昆虫食に馴染みのない参加者にとっても理解しやすい導線になっていました。
登壇者の話から見える「昆虫食の現在」
今回のイベントでは、複数の立場から伝統的な昆虫食が語られました。
昆虫食普及ネットワーク主宰内山昭一さん

NPO法人昆虫食普及ネットワーク主宰。
内山さんは、昆虫食の歴史と将来性、ジバチ、イナゴ、ざざむし、カイコを中心に昆虫の料理法と食味を写真中心に紹介していました。



白井政孝さん(信濃毎日新聞社・昆虫みらいプロジェクト)


信濃毎日新聞社で昆虫食事業を担当し、
料理人や観光分野と連携しながら、昆虫食を“美食”として再構築してきた取り組みが紹介されました。
商品化やツーリズムという形で、昆虫食を社会的に活用する試みです。
YouTuberスズメバチ仮面ヒロポンさん、MCさすがさんによる座談会

昆虫食YouTuberのヒロポンさん。これまでの経験をもとに、
おいしい虫、食べるのに躊躇した虫、まずい虫のお話でした。イワサキカレハガやカブトムシなど。蜂追いについても紹介されていました。

試食がもたらす距離の変化
トークごとに、段階的に昆虫食の試食が行われました。
ジバチ・イナゴ・ざざむし・カイコの佃煮

まずは伝統的な4大昆虫の伝統的な調理法ー佃煮。今回のテーマを表す一皿です。




蚕糞茶

漢方にもなっている蚕の糞のお茶。桑の葉の風味が残ります。
信州ミライカレー 鹿肉とカイコとトマトとカイコポップコーン

次は昆虫ビジネスの一環として商品化されたメニュー。
昆虫食事業「昆虫みらいプロジェクト」を推進する信濃毎日新聞社が、地球の歩き方とコラボし、環境を意識したレトルトカレーとして開発した「信州ミライカレー 鹿肉とカイコとトマト」。
ポップコーンの味は3種あり、どの味が好みかアンケートが採られました。
どちらもしっかりカイコの味を感じました。

イナゴとざざむしの素揚げ

素材の味がそのままわかる素揚げ。香ばしくて美味しいです。
そばがきとジャムと蜂の子・カイコのサラダ


最後のメニューは、信州の素材と信州野菜と昆虫食とのコラボ創作料理。郷土の素材を使いつつ新しい料理へ。
味を知ることで変わる認識
実際に口にすることで、
「知っているつもりだった昆虫食」が、具体的な記憶として更新されていきます。
語りと味覚が結びつくことで、理解は一段深まります。
伊那で見たざざむし漁と、銀座で語られる昆虫食
前日に見た伊那谷のざざむし漁は、
川に入り、採り、調理し、食べるという一連の行為が生活の中に組み込まれていました。
一方、銀座NAGANOでは、
その営みが言葉や商品、ストーリーとして編集され、都市に届けられています。
昆虫食の一連の流れを違うベクトルから感じることができました。
まとめ:昆虫食は多義的存在
昆虫食は、場所が変わると意味も変わります。
現場では生活の技術、伝統文化として、
都市では文化や未来像としても語られる。
銀座NAGANOでのセミナーでは、
その多義性を見ることができました。
昆虫食のこれからを考えるうえで、印象に残る時間でした。





コメント
記事にしていただきありがとうございます。
昆虫食の普及にとってその源流ともいえる信州
以前から銀座NAGANOでやりたいと思っていたセミナーでした
アンケートなども好評で実施した甲斐がありました
今度ウツボカズラと昆虫食とのコラボをやりましょう
大変興味深く拝聴しました。
伊那を訪れて、ざざむし漁を体験したことで
昆虫食の見え方が大きく変わったように感じています。
その体験を経ての銀座NAGANOのセミナーだったからこそ、
これまでより、より一層、文化としての意義や可能性を深く感じ取ることができました。
貴重な機会をありがとうございました。
ぜひ伝統食というテーマで、ウツボカズラ飯とのコラボレーションもご一緒できれば嬉しいです。