アングラ界隈で色々な意味で知られていた「オメガアルゲア」がまだ新大久保にあった頃、ムシモアゼルギリコさんにお誘いいただき、そこで初めて内山昭一さん、ギリコさんと一緒に昆虫食&食虫植物料理のイベントを行いました。内山さん、ギリコさんが昆虫食を、私が食虫植物部門を担当しました。
2010年9月26日(日)のことです。
イベント名は、「奇食の宴〜虫食への視線〜」
イベントでは、トークと共に昆虫食&食虫植物料理をお出ししました。
奇食の宴〜虫食への視線〜の昆虫食&食虫植物料理メニュー
イベントでお出しした昆虫食&食虫植物料理のコースはこちらでした。
・ウツボカズラの天ぷら、マダガスカルゴキブリのフライ添え
・セミ幼虫の薫製
・乾燥カイコのスナック
・カイコの佃煮入りおむすび
・カイコ、ザザムシの大和煮
・オオスズメバチ蛹のバターソテー
・コウモリのスープ
ブックサロンオメガの雰囲気
お店の雰囲気は薄暗く、ところどころに革製のフェティッシュなオブジェが置かれ、フェティッシュバーのような雰囲気でした。お店ではフェティッシュなイベントが行われることがあったようです。ゴシックなお店の雰囲気とコース内容が相まって、黒ミサかサバトのようでした。明らかにメニューの組み立ても、それが意識されています。
山羊の仮面をつけていたらバッチリでしょう。
アペリティフ(食前酒)はウツボカズラの消化液
イベントの乾杯の食前酒には、ウツボカズラの消化液をご提供しました。
「消化液は飲めるようですが、食用に栽培されたわけではないので、その旨をご注意ください」と説明しているところで、ジャンケン争奪戦になり、あっという間に飲み干されてしまいました。
改めて奇食系のイベントに参加する方のバイタリティーを感じたのです。すごい。
ちなみに、ウツボカズラの種類はダイエリアナでした。
ウツボカズラの消化液については関連記事があります。
ウツボカズラの天ぷら、マダガスカルゴキブリのフライ添え
天ぷらのウツボカズラ(ダイエリアナ)を持参し、それに揚げたマダガスカルゴキブリを添えます。この時に、マダガスカルゴキブリを初めて見ました。幼生を揚げさせてもらったのですが、生きているマダガスカルゴキブリを高温で揚げると、シューッと中の水分が蒸発すると共に、独特の匂いが充満します。
ウツボカズラの天ぷら、マダガスカルゴキブリのフライ添えをお出ししたところ、次の瞬間にはウツボカズラの襟の部分しか残っていませんでした。
マダガスカルゴキブリは味も若干のクセがあります。酒粕に似た特有の虫臭さがあります。
ウツボカズラは酸味があり、素揚げにすると酸味が強いので、天ぷらくらいがちょうど良く感じました。
はじめて食べるセミ幼虫の薫製の味は?
セミ幼虫の燻製は内山昭一さんのお手製のものでした。
この日はじめて食べたのですが、普通に美味しく、エビやシャコに似ている食感で、まるで抵抗感がなかったのを覚えています。
虫の味についての関連記事
カイコのスナック、カイコの佃煮のおにぎり、カイコとザザムシの大和煮
次なるメニューが、カイコのスナック。カイコの佃煮のおむすび。カイコとザザムシの大和煮でした。アルコール有りのイベントなので、セミ幼虫の燻製と合わせて、酒肴になるラインナップです。カイコのスナックは、ナッツのような味。カイコの佃煮のおむすび、カイコとザザムシの大和煮も甘辛い味付けで食べやすかったです。
この後、カイコの癖を辛いと思うのですが、この時は調理法により、それほど癖が気になりませんでした。
オオスズメバチのバターソテー
はじめて食べるオオスズメバチ蛹のバターソテーも美味しいものでした。子供の頃に、蜂の子は食べたことがあったのですが、あれはクロスズメバチのはずです。4センチほどもある大きなハチの蛹は食べ応え十分で、旨味が濃厚で、白子か牡蠣に似ていました。
この時に、オオスズメバチ蛹を茹でたしゃぶしゃぶも美味しいと教えていただき、ぜひ食べてみたいと思いました。
蝙蝠のスープの味は?
ラストは食用蝙蝠(フルーツバット)のスープでした。アジア、アフリカなどで伝統的に食用になっている地域もあり、スープや煮込み料理で食べられることが多いようです。
実際に食べてみたところ、豚肉をあっさりさせたような味で、特有の癖は感じられず、食べやすい味でした。思ったより淡白な印象がありました。
奇食の宴〜虫食への視線〜イベントに出演した感想
昆虫食を体験するのもはじめてでしたが、食虫植物料理をお出しするのもこの時がはじめてで、はじめて尽くしの体験をする貴重なイベントとなりました。
参加くださった方は、昆虫料理研究会のメンバーの方、オメガの常連の方が多く、昆虫食を愛好する方とアングラ界隈の方が遭遇し、融合する珍しいイベントと相成りました。オメガの常連の方は、アート系の方が多かったように思います。
普段あまり会わないフィールドの方と会えたり、特定ジャンルの方同士が交差できるのが、イベントの良いところだと思います。
この希少なイベントを開催した会場のオメガは、この後、オメガアルゲアと名前を変えて、中野に移転してリニューアルオープンします。そして、ラバーイベント、緊縛、豚肉解体、さまざまなアングライベントを行っていた矢先に事件が起こり、店主が大麻取締法違反で逮捕、複数の女性と不倫関係にあったことを女性の実名(一部伏字)とともに公式サイトで告白し、ネット炎上、界隈が大騒ぎになり、2013年に閉店することになりました。