2011年8月19日阿佐ヶ谷ロフトAで行われたイベント「きのこ祭り」に行ってきました。
このイベントは堀博美さん著『きのこる』(山と渓谷社)の刊行記念イベントとして行われ、出演者はきのこ関係、自然科学関係の面々でした。『きのこる』(山と渓谷社)の著者、堀博美さん。きのこ文学評論家の飯沢耕太郎さん。漫画家の日高トモキチさん。サイエンスライターの川口友万さん。学研「ムー」編集長・三上丈晴さん。と、豪華な顔ぶれの中トークが進み、更なるイベントの目玉は、サルマタケのソテーの試食会でした。
サルマタケとは?
サルマタケをご存知でない方に説明すると、サルマタケは、松本零士氏の漫画『男おいどん』の作中に繰り返し登場するきのこのこと。サルマタつまりトランクスに生えるきのこ。作中に出てくる架空のきのこです。

完全なファンタジーの世界だと思っていたのですが、サルマタケには、実はちゃんとしたモデルがあるそうなのです。
それが、ササクレヒトヨタケ(商品名コプリーヌ)だとイベントでお話しが出ました。
サイエンスライターの川口友万さんが、実際にサルマタにサルマタケを生やす実験のレポートをされて。その後に、サルマタケもといコプリーヌのソテーをババーンと出されました。
これがサルマタケ!


男おいどん
ちなみに、私、『男おいどん』は何度読んだかわかりません。超愛読書です。
作中では、銀河鉄道999のメーテルのような美しい女性キャラが多く登場します。彼女たちはサルマタケの串焼きやサルマタケラーメンを振る舞われ、「おいしい」と喜んで食べます。
記憶する限りでは「食べたくない」と抵抗した女性は、一人だけです。
しかも、どの女性キャラもサルマタに生えていたことを知りません。「おいしいキノコね」なんて言いながら食べるのです。そういう設定になっているのです。それを横目で見ながら一緒に食べる主人公おいどん。罪悪感を胸に抱きながら。
…なんというか倒錯的ですね。
松本零士氏の特殊性癖を垣間見られるワンシーンでもあります。読者はなんとも言えない感情を抱くことになります。
私は読みながら「バッチイ食べ物だなぁ」と思っていました。
そのモデルであるキノコを食べる日がくるなんて人生はふしぎです。
肝心のサルマタケ(コプリーヌ)の味は?
試食させていただきましたところ、実際の味はえらい美味しかったです。
旨味が濃くて、肉の味がしました。
フレッシュなのか、噛み締めると、キノコの汁が滲みます。
キノコって本当においしい。幸せ!
以前、採りたての天然しめじをいただいて食べた時に、あまりの旨味の濃さ、山の霊気を閉じ込めたような味に、舌先がピリピリと痺れたのをふと思い出しました。
イベントでは、サルマタケの実験レポート&試食会の他、堀博美さんによる「きのこ事件簿」の話が披露されました。ドクツルタケを堀さん家族が誤食し、家族全員で胃洗浄したという衝撃的な話。また、猛毒キノコのカエンタケを食べて亡くなった人の遺言。キヌガサタケの傘が開くまでの美しいスライドショー、冬虫夏草の話まで、きのこというテーマで実に幅広く、奥深く、興味深かったです。




質問コーナーで「毒キノコを観賞用に栽培できないですか?寄せ植えとか」と質問してみたのですが、寿命が短く、発生条件も厳しいために難しいそうです。毒キノコは形状が美しいものが多いから手元で育てられたら楽しいと思うのですが、キノコ園芸とか。残念でした。
追記 2020.12.9
きのこ祭りに登場したちょっと変わった漫画飯のお話しでした。
この当時はキノコ園芸もなかったのですが、この後、水槽内でキノコを育てるきのこリウムやキノコ園芸を制作される方が現れ、観賞キノコの世界が豊かになりました。きのこは観賞にも美しいですね。ツチグリやタマゴタケ、ベニテングタケ、キヌガサタケも美しいです。
このブログ記事を書いた時には標本でしか見たことの無かった冬虫夏草も生えている状態で見ることができました。きのこは楽しいです。

