東京都世田谷区代沢にあるイタリア料理の名店「ぺぺロッソ」
井の頭線池ノ上駅から歩いて数分のところにあるカジュアルな外観のお店です。しかし、その入りやすいお店の雰囲気とは裏腹に、珍しい食材を使った独創的な料理の数々を提供されています。
お誘いいただき、こちらでシェフのおまかせコースできのこ尽くしのメニューをいただきました。2020年の秋のことです。
石の熱で溶けるぺぺロッソ特注の生ハム、バケット
お皿の上に熱した石、その上に薄いバケットが載せられています。その上に被さるようにお店特製の生ハム。石の熱がバケットに伝わり、さらにその上の生ハムにも伝播して、脂がほんのり緩んでいます。その緩んだ脂が美味しい一品。
絶妙な温かさが生ハムの旨みを引き出していました。
完熟柿とスイートトリュフ、バルサミコ添え
ゆるゆるに熟した柿にスライスしたスイートトリュフ、バルサミコをかけた不思議な一品です。イタリアでは良く熟した柿を食べるそうですが、私もこれくらい柔らかい柿が好みです。前のお料理の生ハムの塩味の次に甘味が来て、バランスが良く。また、柿ときのこが、これから秋らしいコースになることを予感させます。
焼きマツタケと8種のきのこのソースのトリッパ
蓮の葉をモチーフにした特徴的なお皿に盛られたトリッパ。ソースはホンシメジ、ヌメリスギタケ、ナラタケ、ホウキタケなど8種のきのこを使ったもの。あっさりとした優しい味付けのトリッパです。内臓料理ですが、淡白な味付けでも、臭みは全く感じません。大きな焼きマツタケが上にのっています。きのこはきのこハンターの方から仕入れたそうです。
団扇海老(ウチワエビ)と栗粉のパスタ(パッパルデッレ)
大きなウチワエビの半身を添えたパスタ。幅広のこのパスタ(パッパルデッレ)は、栗の粉が練り込まれているのだそうです。マジョラムペーストのソースで、生のマジョラムの葉も散らされています。栗の粉のパスタはひねた味。淡白なウチワエビに合います。
マジョラムの味は強いので、好き嫌いが分かれるかもしれません。私は好きです。
二品目のパスター葡萄と猪肉のラグーのウンブリチェッリ
二皿目のパスタは、葡萄と猪肉のラグーのウンブリチェッリ。うどんのようなもっちりとした柔らかい食感の手打ちパスタです。パッパルデッレと全く味付け、食感が異なり、同じパスタでもこれほど表情が変わるのかと驚かされます。葡萄と猪肉という組み合わせも秋らしく、まさにこの季節ならではの料理。
ラム肉のローストとクロフマイタケ
メインは仔羊のロースト。皮を香ばしく焼いた肉の上にクロフマイタケの粉がかかっています。ここにもきのこが。骨から出汁を取ったスーゴに、紫玉ねぎのマリネが添えてあります。骨付き肉が美味。
お店の豚の形のテラコッタで燻される羊肉。肋骨が猟奇的でもあり、野趣に溢れています。
パンナコッタ・栗の粉のガレット
ドルチェはパンナコッタと栗の粉のガレットでマスカルポーネを包んだもの。
栗の粉のガレットは、栗の粉を練り込んだパスタ同様に鄙びた味わいがありました。蚕の味に似ていると思いました。栗の花の蜂蜜を添えてあります。
素朴な味わいアブルッツォ州の焼き菓子フェッラテッレ
コースの最後は、焼き菓子と温かい飲み物。アブルッツォ州の焼き菓子フェッラテッレとカフェラテをいただきました。フェッラテッレは鎌倉半月を少し硬くしたような、素朴な味の甘い薄焼きのお煎餅。見た目通りの味でした。
きのこ、柿、栗、葡萄と秋の味覚が潜むように料理に使われて、新鮮な驚きがありました。料理の中に秋を探していくような楽しみのあるコース料理。料理の向き合い方も秋らしい、楽しい体験でした。
お店情報
ペペロッソ(PepeRosso)
住所 東京都世田谷区代沢2−46−7エクセル桃井1階
営業時間 ランチ12:00〜16:00(L.O. 15:00)ディナー18:00〜23:00(L.O.22:00)
電話番号 03-6407-8998
アクセス 京王井の頭線池ノ上駅徒歩1分